AI時代の人生戦略

AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である」(成毛 眞著)。

成毛さん*1の本は面白いというのをどこかで読んだか聞いたかしたけど、実は今まで読んだことがありませんでした。今回初めて手にしたわけだが、なるほど確かに面白い。経営者になろうかって人種は知識量がすごいですね。

思考が変わって行動に変化が起きれば、習慣が変わり、そうすると人生が変わる。そのために重要なのがSTEMやSTEAMというわけだ。STEMはサイクリストであればよくご存知のハンドルを取り付けるパーツですが、ここで言うSTEMはそれではなく、サイエンスのS、テクノロジーのT、エンジニアリングのE、マセマティックスのMの頭文字をとったもの。STEAMはそれにアートのAが加わる。

15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野を調査したPISA2012のレポートによると、日本は平均点を上回っていることがわかる。しかし、上海、香港、シンガポールの平均点と比べると劣っており、ものによっては大きく下回っている。知り合いの中国人に聞いたところ、上海のその年代の学生はものすごい時間勉強をしているのでその結果に驚きはしないとのことだった。著者は日本の教育のあり方、特に大学受験あたりからのあり方を変える必要があると強く主張しています。私立文系に進むと決めた瞬間に高校で数学を学ばなくなることが問題で、文系とか理系に限らず今後はそのような教育が必要になる。個人的にはこの点は同意です。

フランケンシュタイン、ヴァンパイアなどの例を取り、自然現象と文明や文化の関連性もとても興味深いですし、perfume, babymetal, OK GoのライブやMVを引用してテクノロジーとアートを説明しているところも守備範囲の広さを伺える。

M.ロジャースのイノベーター理論やジェフリー ムーアの「キャズム」の話もさらっと登場している。これらのロングセラーは必ずおさえておきたいところですね。

これ以外にも本書のテーマに沿って、ありとあらゆる事例をこれでもかというくらい沢山用いながら、豊富な知識量と引き出しを使った説得力のある解説が続く。

詳細は割愛するが、Uber、FinTech ロボアドバイザー 知ってると知らないとでは大違いで知らないと損する、技術革新が世界史を、私立文系の入試のあり方、トヨタ社長の鶏そぼろ弁当の話、Xiaomiのセグウェイ(ナインボット ミニ プロ)、DJIのドローン、ポケモンGoPlayStation、AR/VRなど盛りだくさんである。ゲームに関しては、実感してから理解すると書かれている通り、(ゲームに限らずだが)体験しているといないとでは数年後に大きな差となってくるだろう。

ホリエモンとの対談では、この2人さまざまな分野の知識がとても豊富で驚く。医療、自動車、宇宙、パティシエなどなど。

STEAMを活用するには imagination と creativityが必要だが、これらは小手先のテクニックでは養われない力で、道を突き進み、ときには失敗して経験値を上げる必要がある。これはAIには代替えできない、人間にしかできないことと述べられている。

最後に「残酷な5年後に備えて今すぐ読みたい本」と題して多くの本が紹介されている。意外だったのがSF小説が多いこと。ザッカーバーグSF小説好きらしい。まずはこの中から1冊買ってみることにします。

どうでもいいことだが、成毛さんって古舘伊知郎に似てるというのは、すでに有名な話なのでしょうか?この本のカバーはもちろんだけど、やっぱり似てる(笑)

*1:マイクロソフト日本法人の2人目の代表取締役社長。初代はもちろん古川さん