1分間顧客サービス - 熱狂的ファンをつくる3つの秘訣

1分間顧客サービス - 熱狂的ファンをつくる3つの秘訣」Ken Blanchard + Sheldon Bowles (原著)。
オリジナルのタイトルは、”Raving Fans”。日本語では熱狂的なファンといったところでしょうか。なぜ「1分間~」という邦題が付けられたのかはわかりませんが、ベストセラーの「1分間マネージャー」にあやかったものなのかも知れません。この本が書かれたのが1994年だから25年ほど前になるのですが、今の時代でもまったく通用する話、というかむしろ昨今ではこの重要性が見直されているようにも思えます。
本書はよくある自己啓発本とは異なり、主人公の前に突如として現れたチャーリーという妖精とともに熱狂的ファンを生むための3つの秘訣をストーリー仕立てで紹介していきます。小説という形式になっているので、物語に引き込まれあっという間に読了してしまいます。
顧客満足を得るだけではなく、熱狂的なファンをつくるにはさらに上のサービスが必要となると考えるのが普通です。確かにそれ自体間違ってはいないと思うが、本書では「いい顧客サービスをしたいと考える人は、すべての人のすべての望みに応えようとしがちです。それは無理なんです。」とある。顧客の気まぐれやわがままにすべて応えるのがファンをつくることになるかと言えば、必ずしもそうではないということ。顧客を知ることも顧客が望むことを知ることも決して簡単なことではありませんが、顧客の言葉に耳を傾けるとき、その傾け方にポイントがある。それは「言葉」と同じように「音色」に耳を傾けなければならない。何でもかんでも顧客の期待に応えるのではなく、ビジョンから逸脱しないようにすることが大切です。
顧客満足度のアンケートなどを実施している企業は多くいるが、何か不満があっても文句を言わない顧客が多数いる。それは言っても仕方がないと思っているからで、そういったサインを見逃して、大きな不満がなさそう(もしくは不満は少数意見)だと判断してしまい、大きな機会損失をしてしまっている可能性は高い。
そして、「ひとつ余分に実行せよ」((これは短縮版で、もともとは「1パーセント余分にビジョンを実行せよ」である))というのはとても腹落ちします。これの意味するところの詳細は本書を読んでいただくとして、ここでは省略します。
期待に応えるだけではなく、常に期待以上のサービスを提供することこそが最も重要だというようなことは本書では述べておらず。期待に応え続ける一貫性が重要だと述べている。そうするためには、システムが必要だが、それは決してルールの集まりではない。がちがちのルールを沢山設定すればするほど、それはロボットをつくってしまうことになる。スクリプトを読んでいるだけのコールセンターに対して熱狂的なファンになることは決してないでしょう。

もし顧客の考えに耳を傾けてそのニーズと欲求を知ろうとしなかったら、....(中略) その顧客を人間として無視することになる。耳を傾けていないということは、相手の考えに何の価値もないと言うのと同じだから。

それを変えると、ニーズに応えることができるし、顧客の意見を尋ね、耳を傾け、尊重すれば、顧客を知性を持った人間であるように対応することになる。
自分の中でオーバーサービスと熱狂的ファンを生むサービスの違いが少しわかってきたような気がしました。