「となりのクレーマー - 「苦情を言う人」との交渉術」関根 眞一 (著)。
クレーム対応のスキルは少しはあるけど、ちゃんと勉強したことないなと思い、入院中に読了した一冊です。
著者は大手百貨店でお客様相談室長をされていた方で、最初は大阪の八尾だったそうです。八尾の百貨店と言えば西武で、昔お世話になったので一気に親近感が湧いてきましたw。クレーム対応は、どこまで話を聞き、対応するのか。どこから毅然と臨むのかがコツで、本書は著者の経験談をベースに解説されています。読み物としても読みやすいですね。
クレームと苦情は異なるもので、クレーマーの定義が分かり易く書かれています。一般的には、苦情は、不満があるから申し入れるものであり、クレームは被害があるから補償を要求するものです。クレーマーのことを私を成長させてくれた人と呼んだいるのがとても興味深いですね。
具体的な手法もいくつか紹介されており、静行話法は使える方法の1つ。クレーマーを誕生させたのは、サービスを提供する側にも原因があり、よく言われることですが過剰なサービスがクレーマーを増殖させかねないのも事実です。クリニックなどの個人病院や学校などは、苦情処理の専門家がいるわけではないので、ひたすら謝罪したり、お金で解決したりといった安易な方向に流れてしまう傾向があるようですが、これがクレーマー増殖の一因になり得るわけです。クレーマーには屈しない気構えを持つことが肝心です。
「苦情社会」といわれる近年で、実際に学校に寄せられたクレームがびっくるするような内容でした。
- 学校のガラスを割ったのは、校庭に石が落ちていたからだ。
- うちの子が学校で怪我した際、なんであんなやぶ医者に連れて行ったのか。
- 学校へ苦情を言いに行ったのは、会社を休んで行ったので賃金を補償しろ。
こんなアホなクレームほっとけと言いたくなりますが、こんな無茶苦茶なクレームにどう対応するのかも解説されています。第3章では8つのクレーム対応技法が紹介されており、いくつかは私の仕事などにも参考になりそうです。
よく言われる言葉に「誠意を見せろ」というのがありますが、そういった場合にどのように対応すべきか、或はどのように対応すべきではないかは目から鱗でした。
有名な「グッドマンの法則」によれば、一人の苦情を言う人の背後には、二十六人の同じ苦情を持つ人がいるそうです。