「スティーブ・ジョブズ全発言」桑原 晃弥 (著)。
鎖骨骨折の入院中に読んだ本。数多くの名言を残したスティーブ・ジョブスの発言とその背景および意味するところを解説してくれています。私は、決してアップル信者ではありませんが、残された言葉の多くは深く感銘を受けるものが多いです。まずは本書中に随所に登場する NeXTSTEP が懐かしかった。昔、オフィスに1台だけあった黒い Nextcube がとにかくかっこよく、GUI がとても洗練されていました。Mach カーネルとか Display Postscript とかを知ったのも 90年頃だった。
美女にライバルがバラを10本贈ったら、君は15本贈るかい?
そう思った時点で君の負けだ
ライバルよりちょっといいものをつくるのではなく圧倒的にすごいものをつくるというポリシーの表れですね。
アップルが勝つためにマイクロソフトを負かさなければならないとしたら、アップルは負けることになる
これはライバルに勝つことではなく、ユーザーを喜ばせることが大切だということを意味しています。
会社が大きくなるとコスト削減のことばかり目につくが、次なる一手を持たないコスト削減は企業を縮小均衡へと追い込んでいく。
革新的であればあるほど疑問視する声も大きくなるが、ジョブスは革新的製品に挑み続けた。そして何度も破壊的なイノベーションを起こした。そう、何度も!パーソナルコンピューターから iPod というデバイスだけでも凄いが、iTunes Music Store (iTMS)*1。今でこそ音楽配信や映画配信は珍しくなくなったが、当時あれほどの規模で音楽業界とつながったのはとてつもなく凄いことだったのだと思います。
何かを捨てないと前に進めない
選択と集中のスキルは天才的ですね。
「これは無理だ」と38個の理由を並べた。
そこで言った。
「いや、これをつくるんだ」
iMac 開発時の話しで、できない理由をあげるだけなら誰だってできる。大切なのは「どうすればできるかを考え、実行する力だ。まさに Growth Mindset ですな。これ、自分ではまだ全然できていないなぁ...
アップルは大企業になってしまったが、ジョブスはベンチャースピリットを持ち続け、それを原動力としていたようです。
父が自分にしてくれたように、自分も子供にしてあげたい
こんなことを子供に言われるような父親になりたいですね。
*1:当時は、音楽に特化したストアだったのでこの名前でしたが、後に扱うものが拡大し、iTunes Storeに改名