負け犬の遠吠え

負け犬の遠吠え

負け犬の遠吠え」(酒井順子著)。
会社の同僚のブログで紹介されていたのを見て面白そうだったので読んでみた本。
本書では、「負け犬」とは狭義には、未婚、子ナシ、三十代以上の女性のことを示しているそうです。そんなことを書くと多くの反発が来るかもしれませんが、自称負け犬の著者は人間を勝ち負けで二分することが不可能であることを承知の上で、あえてそうすると面白いということで書いているらしい。難しく考えずに読むのがよろしいかと。ちなみにその同僚は「勝ち犬」です。

神様は、その人が耐えられるだけの苦悩しかお与えにならない。
やらないで後悔するくらいなら、やって後悔した方がいい。

これらは負け犬が心の拠り所にしがちな格言だそうです。
F1層*1やF2層*2、三十五歳、高学歴高収入と低方婚*3、都会、ペット、「ブリジョン*4」などの負け犬ストーリー、歌舞伎、舞踏アディクション、旅行、手芸、加齢とともに身に着くこわさなどよくもまあこれだけ半ば強引なこじつけとも思える事象や現象を並べたもんだと感心してしまう。でも負け犬の深淵な悩みやつぶやきはどこかとっても真面目な思いが伝わる。
こういった細かい描写は、私のような中年の男が読むよりも三十代以上の女性が読むと「あるある〜」と共感を示すんでしょうね、きっと。私も多少はなるほどとは思いましたけど、経験していないことはやっぱりわかりませんから、女性受けする本だと思います。
オスの負け犬も紹介されており、

  • あまり生身の女性には興味の無い人 --- オタ夫
  • 女性には興味があるけど、責任を負うのは嫌な人 --- ダレ夫
  • 女性に興味はあるけど、負け犬には興味の無い人 --- ジョヒ夫
  • 女性には興味はあるけど、全くモテない人 --- ブス夫
  • 女性には興味はあるけど、単にダメな人 --- ダメ夫

とあります。メッタ切りですなw
負け犬のことをさんざん書いたけど、最後にちょっとフォローして読後感を爽やかなものにしているところはいいですね。

*1:F=フィメール。F1層とは 20 歳から 34 歳までの女性

*2:ここは35歳から49歳まで

*3:伝統的に日本の男性は、自分より色々な意味で「低」な女性を好み結婚する。これを専門用語で低方婚と言うららしい

*4:ブリジットジョーンズの日記