アマゾンのロングテールは、二度笑う

アマゾンのロングテールは、二度笑う

アマゾンのロングテールは、二度笑う 「50年勝ち組企業」をつくる8つの戦略」(鈴木貴博 著)。
Amazon のレビューで評判が良かったので、いつものごとくマーケットプレイスにて購入した一冊。私のようなマーケティングの素人にも理解できるように平易な文章で会社が勝ち残るための戦略について書かれています。Amazonのレビューにも書かれていたと思うけど、本書のタイトルとは裏腹にアマゾンについて掘り下げて書かれているのは2割もしくはそれ以下です。でも読んでいるとそんなことはどうでもよくなります。マーケティングの専門用語が頻出するわけではなく、でも大切なポイントがわかりやすく解説されているので、幅広い人にお勧めできる良書だと思います。
差異化が重要な戦略だというのが広まっているけど、実はトップ企業にとっては「同質化」こそが重要だというのは大いに頷けます*1。技術者はあまり楽しくないのかも知れないけど、これは理解しておくべきでしょう。
また、オンリーワンビジネスは、「そんなやり方は気持ち悪い、またはお断りしているもの」にこそ可能性が高いこと*2。手に届く贅沢で成功したスターバックス、上海で成功したファミマと「サーバント・リーダーシップ」の関係、加工貿易立国を柱としている日本が貿易黒字国から貿易赤字国へ転落する脅威とそれに対する戦略*3、戦略の奥義としての自分に有利な土俵*4などなど、他にも沢山の戦略が実際の企業を例にとってとても具体的に書かれているところが読む者を惹きつけます。
7章になってようやく本書のタイトルのお話になり、パレートの法則が崩れ始め、アマゾンのロングテールが二度笑うというのがどういう意味なのかわかります。
欠陥率ゼロということで広く受け入れられた日本の企業が転落していく話や、不完全なものを早く市場に出す戦略で成功したPCとマイクロソフト Windowsの話も興味深いです。

まじめに愚直にやるだけでは、必ずしも利益はついてこない。むしろ、まじめだけがとりえの企業は、経営が苦しくなることすらある。だから、同時に。「結果として利益がついてくるような有利なビジネスの土俵を選ぶこと」もとても重要なのです。

コンサルタントの著者だけに、本書もとてもアメリカ的な匂いを感じた。翻訳ものと違って面白いのは、実際に例としてあげられている企業が日本企業もしくは日本でなじみ深い企業であるから身近に感じより理解が深まるところでしょう。
私は経営者ではないけど、一企業人として有利な土俵選びを意識しながら仕事をするように心がけようと思う。

*1:例: トヨタ資生堂コカ・コーラなど

*2:例: アスクル

*3:例: Panasonic

*4:それほど有利ではなくても相手がもっと不利ならば結果として自分が有利というものも含む