イノベーションのジレンマ

Blackcomb2007-08-27

増補改訂版「イノベーションのジレンマ - 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」(Clayton M. Christensen 著)。原題は、Harvard Business School Press: The Innovator’s Dilemma – When New Technologies Causes Great Firm to Fail。
かなり前のことだが、元上司に破壊的イノベーションとこの本について教えてもらった。それから別の場所で内容について読んだりしていたので、ついずるずると先送りにしていました。入院中の時間があったときにようやく読んだ米国の経営手法に革命を起こした「現代の古典」です。大ベストセラーなので当然の如く素晴らしい内容なのですが、個人的にもここ数年で一番面白かった本と言ってもよいくらいぐいぐい引き込まれました。とにかく1人でも多くの人に読んで欲しいと思う。特に一緒に仕事をする人達には強くお勧めしたいです。
顧客の声に耳を傾けることがいつも正しいとは限らず、むしろそれは持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションを失わせ、誤った方向に導くことがあるというから恐ろしい。優れた経営が、破壊的技術を扱うには役に立たないどころか逆効果であることが多いというのである。優良企業は、優れているがゆえに失敗する。「優良経営」は「不良経営」になる得る。
確かに存在しない市場を予測することは極めて難しく、予測も必ず外れるらしい。ヒントは、人々の声に耳を傾けることではなく、人々がどのように製品を使うかを見ることのようだ。フォーカスグループよりもユーザビリティテストということかも知れない。
資源 - プロセス – 価値基準の枠組みがイノベーションにおいてはとても重要なポイントで、自分の会社の殆どの人間(特に最近)がそうであるように、この3つが破壊的イノベーションを成功させるような方向に向いている人は極めて少ないのではないだろうか。それでも一部の人達や数字に追われない独立した小規模組織や別会社でイノベーションに取り組んでいるのならば、その会社も捨てたもんじゃないと思う。