のぼうの城

のぼうの城

のぼうの城」(和田 竜著)。
入院中に同僚がお見舞いに持ってきてくれた1冊。ベストセラーらしいです。
私は歴史小説なんてまったく読まないのですが、入院中だったこともあり珍しく読んでみました。秀吉の軍勢が唯一落とせない武州忍城の城代成田長親を中心とした、なんとも痛快な人間ドラマです。でくのぼうのようだというとこから百姓からも「のぼう様」と呼ばれた長親は、武将としては何のとりえもないような人物なのだが、とにかく人望があつい。それが、石田三成二万の軍勢に、たった二千で立ち向かうという奇跡を起こす。
前半は、淡々と人物紹介や戦国時代の状況設定などがメインで、いまいちページが進まなかった。おまけに歴史ものは苦手なので、登場人物の名前や読み方もなかなか覚えられず、少し手こずった。
しかし後半の籠城、決戦あたりからは、ストーリーにぐいぐいと引き込まれ、あっという間に最後まで読み終えてしまった。
この一風変わった長親のような人物は近代ではなかなかお目にかからなくなったと思うけど、財や権力ではなく、人を引き付ける何かを持った人物こそが、本当に人を動かし何か大きなことを成し遂げられるということは、今も本質的には変わらないんでしょうね。
映画化が企画されているというのも頷ける作品です。