異文化の波 (2)

Blackcomb2006-09-30

異文化の波―グローバル社会:多様性の理解」(Fons Trompenaars, Charles Hampden‐Turner著 須貝栄訳)
このブログで (2) があるかも知れないと書きましたが約1ヶ月ぶりに続きを書きます。

遅刻は、「時は金なり」という世界においては、待たせている相手から貴重な時間を奪うことと思うのである。
(中略) 約束時間に遅れても許される範囲は、ラテン系ヨーロッパにおける15分から中東およびアフリカにおける半日または全日まである。

9章の時間管理の方法で述べられている、同期的な人達と順次的な人達の時間(特に相手を伴う場合)に関する考え方の違いは、理解している場合とそうでない場合は大きな差である。これが国際的なビジネスの場合は、簡単に成否を決定付けるかもしれない。単に時間にルーズな文化の人、あるいはその逆というように単純に片付けてはならないということを改めて学んだ気がした。上の引用は僕にとっては何ら不思議なことではないが、同期的な人/文化では、相手に時間を与えるというように解釈するのだそうだ。少し電車が遅れただけでイライラする我々とは程遠い文化かも。

ソニーの故盛田昭夫氏はウォークマンを創り出すアイデアを思いついたのが、他人に迷惑をかけずに音楽を楽しむ方法を捜し求めていた間のことであった。この発想は、西北ヨーロッパおよび北米において、ユーザーのほとんどが他人から邪魔されたくないからウォークマンを使用するという動機が当たり前になっていることと好対照である。

外部思考と内部思考の良い例としてこのソニー ウォーマンの開発史があげられている。北米や西欧の一部で内部志向が行き過ぎてしまったので、考えを改め、「顧客思考」を学ぶようになったそうである。

「フィードバック」という語は、西洋の経済学の専門用語であり、興味深い語である。この語が認識しているのは、継続中の事業や仕事を定期的に正す必要性である。しかし、フィードバックが、計画された元来の方向性と同じくらい重要だと考えられることはめったにない。それどころか、フィードバックは元の方向性を維持する手段になっている。

仕事柄、顧客からのフィードバックを非常に重要視しているが、この文章はがつ〜んと衝撃を受けた。100% その通りではないにせよ、大筋当たっているかも知れない。確かにフィードバックに基づいて、足したり引いたり変更したりすることは間違いないが、方向性そのものを覆すことはあまりないと思う。

日本では、上司を批判できるのは、上司のおごりで酒を飲んでいる間である。

異文化研究家、いいとこつくねぇ。:-) これとは関係ないが、ある調査によると仕事をする2つの大きな理由は、得られるお金の為とその仕事への興味だそうだ。これには複雑な条件定義が必要なので多くは語らないけど、サラリーマンとしては仕事を続けられる大きな要因は職場環境かも知れない。その際たる要素は上司でしょう。合わない上司の下で仕事を続けるほどつらいものはないですから。あ、今がそうだという訳ではありません。この先どうなるかはわかりませんけどね。

ネタがなくなったらまたその (3) を書こうと思います。