日本のソフトウェア業界は、国際競争力が無い?

広島市立大学の大場教授の「日本のソフトウェア業界の国際競争力」というアーティクルを読みました。一応日本とアメリカのソフトウェア企業を少しは知っている身としては、興味深い題材です。

米国のソフトウェア産業も、日本のそれも同じくらいの競争力をもっている。ただ、両国がもっている強みは、かなり違っている。米国は、主として多くのユーザに利用される大規模ソフトウェアの生産に強く、日本は、特定のユーザのニーズに応える大規模な個別開発のアプリケーション・ソフトウェアの生産に強い。前者は収益性が高く、後者は収益性が悪い。

これの意味するところをどれほど正確に理解できたかは謎であるが、言わんとしていることは何となくわかりますよね?もちろんこれは大方の場合であり、例外はいくらでもあるので、細かい例をあげて反論するつもりはありません。

MITのクスマノ博士が、日本のソフトウェア技術に関する研究成果を発表して以来、米国では日本の強い経済力に関するイメージからか、『ソフトウェア技術においても日本の方が進んでいる』と漠然とした印象をもっている人が多い。クスマノ博士は、『日本のソフトウェア生産性は米国の2倍、品質は米国の4倍である』と報告した。米国のソフトウェア業界には、この数字を文字通り信じた人達と、「そんなばかな事があるものか」と頭から信じなかった人達がいた。

「日本は製品品質に関して非常に厳しい基準を持っている」といったような会話をよく耳にする。最近は口にしなくなったが、以前は自分でもこういった類のことを言っていた。これはある意味正しい。少なくとそうとしか思えない経験をした事が何度もある(逆のケースもあるが...)。米国のソフトウェアは innovative だが品質は穴だらけのことがあるということを言う人もいる。それはともかくとして、体質的または文化的にみても日本の方が QA つまりテストという工程には向いている気がしてならない。これは米国と比較してというよりも、むしろ日本以外のさまざまな国と比較してである。実際、米国は世界的に見るとテストの質も十分に高いと思う。ただ、テスト実行よりもむしろテストプロセスの構築の方が長けていると思う。これは間違いなく、文化的なものだろう。小さい頃からプロセスにこだわる教育を受けてきたと思うからこれはもっともな現象なのでしょう。
20代の頃、ソフトウェア工学の本をいくつか読んだけどまたちょっと読んでみようかなと思わせる論文でした。