阪急電車

阪急電車

阪急電車」(有川 浩著)。
嫁はんが読み終わった本を拝借して読んだ。有川浩さんの本はこの阪急電車が初めてでした。結論を先に書くと、めっちゃ面白かったです。個人的には平易な文章で綴られ一瞬に引き込まれる文章と、著者の感性が凄く好きです。
まずタイトルからして物凄く興味がそそられます。あの茶色の阪急電車ですよ。しかも神戸線でも京都線でもなく、今津線が舞台というところがなんともいいじゃありませんか。私はおばあちゃんとおじいちゃんが西宮北口に住んでいたので「キタグチ」*1は何度も行ったことがあるのですが、神戸線の方なので今津線はまったく記憶にありません。でもこの小説を読んだ人たちはきっと今津線のそれぞれの駅で降りてみたくなったんじゃないかな。
最初は物凄く短い短編集だと勘違いして残念に思ったのですが、それが間違いであることにすぐ気付きました。それぞれの短編はすべてが決して密接ではないけど絶妙に絡み合っているのです。実に新鮮です。
当然と言えば当然ですが、登場人物は大学でこちらに越してきた男女以外はみんな関西弁です。電車の中でぺちゃくちゃ喋る女子高生の関西弁が妙に懐かしく感じたなぁ。登場人物は年齢もさまざまで小学生、女子高生、大学生、OL、おばさん、おばあちゃんなど盛りだくさんで、しかもみんなとても人間的で温かい。読後感も実に爽やかです。
また、あとがきの後の解説は今月の16日に亡くなってしまったばかりの児玉清さんが書かれています。読書好きというのはどこかで聞いたことがありましたが、この解説文を読んで筋金入りの読書好きだったことと、とても素晴らしい文章を書く人なんだなとうことを今更ながら知りました。
いつかまたキタグチに行ってみたいな。今度は今津線に乗って。

*1:小説の中にも出てきますが、私はニシキタ派ではなくキタグチと呼んでいました