「検索は、するな。」(安田佳生 著)。
タイトルと表示のイラストから、Google をめった斬りする内容と勘違いされそうですが、Google のことを書いた本ではありません。
アイデアは「ひらめき」ではなく「発見」だというのは同意です。本書にも書かれていますが、アイデアはゼロから生み出されるものではなく、誰も気づいていないものをちゃんと発見できるということです。イノベーション関連の書籍でも散々語られていますが、ゼロから生み出すのではなく、既存のものの組み合わせや改良だということと同じことでしょう。
受験は一問目が難しかったとしても残りの九問を解いて90点取ることが重要だけど、仕事で求められるのは、時間さえあれば誰でも解ける残りの九問ではなく、他の人が解けない一問目を解くことにこそ価値がある。
言われた通りにやっているだけよりも、「仕事とは何か」ということを考えて納得できないとやらない方が自分の頭で考えているので、成果も期待できる。ただ、職場環境によっては、あまり拘りすぎると「何をそんなに拘ってるの?」と面倒がられることもある…
人がぐぐっとくるのは、その「当然」を超えた「こだわり」、自分たちの想像を超え、そんなところまでと思わせてくれる部分にふれたときだと思う。
徹底した拘りで真っ先に思いつくのが、アップルが提供するユーザーエクスペリエンスでしょうか。あの細部に対する拘りは凄いし、フォーカスグループのようなことをまったくやらずにあそこまで作り上げるのは感服します。
ちくわの穴の話が出てきますが、この一見どうでもいいことを例に取り上げて、好奇心とあきらめの悪さの利点を述べています。
くだらないことを考えても人の役には立たない。でも、くだらないことを考え続けることそのものが、思考の訓練になる。視点を変え、掘り下げて考えるクセづけはいつか、素晴らしい発見につながる。
Detail に拘りすぎる人というのがいます。逆にそれを良くないこととしてまったく拘らない人もいます。状況に応じて使い分けなければなりませんが、その気になれば detail に拘れる人の方が後者よりも人間的に面白い人が多い気がする。経営者のような立場の人でさえ、拘りは必ず持っているはずですから。
信じるクセ、疑うクセをつける。失敗は点、成功は面。というトピックも興味深い。そして、「愛していること」と「愛していることを相手に伝えること」は、まったく別ものだということだ、という例から始めて、言葉では伝わらない「伝える極意」も参考になります。
最後に子供になぜ勉強をしなければいけないのかと聞かれたら、こう言おうと思っているという節は使えるかも。(^^)
それは、自分の表現したい思いを自分の中で作り、表現するために必要な思考力を身につけるだめだと。