ツール100話―ツール・ド・フランス100年の歴史

Blackcomb2008-08-03

ツール100話―ツール・ド・フランス100年の歴史」(安家達也著)。
これも同僚が持って来てくれた本です。ツール・ド・フランスの第1回大会から100年の数々のエピソードがほぼ年代順に紹介されている、少しばかりマニア向けの本です。私は、特にレースに詳しいわけでもないので、もちろん知らないことだらけでした。
昔のツールのルールは、今から考えると信じられないものばかりです。例えば、変速機はの使用は許可しないというもの。理由は、「選手は自転車を使ってレースをしているのであって、自転車に使われてはならない。変速機を使うのは卑怯だ。」だそうです。あるいは、パンク修理はすべて選手自身で行わなければならず、選手たちはタイヤを背中でクロスして両肩にかけ、ポンプも持ってレースをしていた。ホイールの交換も禁止されており、フォークが折れたりした場合は、近所の村の鍛冶屋かなにかを自分で探して、そこで自分自身で修理しなければならなかった。今思うと理解しがたいほど奇妙な信念とルールです。
こんなルールのもとで、総距離が 5,000km を超える年も多かったというから、その苛酷さは相当なものだったでしょう。
ツールが他のスポーツと異なることの1つに、真剣勝負であると同時に紳士協定のような暗黙のルールがあることかも知れません。これにより、単に相手を蹴落としてでも競り勝つといった以上の魅力が生まれているのは間違いありません。
ファウスト・コッピ (Fausto Coppi)、ベルナール・イノー (Bernard Hinault)、エディ・メルクス (Eddy Merckx)、グレッグ・レモン (Greg LeMond)、インドゥライン (Miguel Indurain)、ランス・アームストロング (Lance Armstrong) など、名前くらいしか知らなかった巨人たちがいかに凄い人たちだったのかを知るにもよい本でしょう。
もちろん、これを読んでも速くなるわけではありませんけどね。