ただマイヨ・ジョーヌのためでなく

Blackcomb2008-07-29

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」( Lance Armstrong 著、安次嶺佳子訳)。
原題は、"It's Not About the Bike"。つまり、これは自転車についての話ではないということです。でも自転車のことも少し書かれています。マイヨ・ジョーヌ (イエロー ジャージ) とは、ツール・ド・フランスで個人総合1位の選手だけが着られる栄光のジャージです。
本書は、ランス・アームストロングの幼少期から支え続けていた母(父は実質存在しないに等しい)、妻となったキーク、睾丸癌と診断されてから、医師、看護婦、友人など多くの人々に支援され、癌から生還し、最も過酷といわれるツール・ド・フランス総合優勝に至るまでの壮絶なドラマ(実話)が書かれたベストセラーです。

自転車乗りに毛剃りは不可欠だ。毛がなければ砂利が皮膚に食い込んだとき、消毒するのも包帯をあてるのも簡単だからだ。

このことは知っていたけど、自分の中ではどこかにそれはプロレーサーの話でホビーレーサーはそれをマネているだけだろうと思っていてた。今回自転車で事故にあって、救急車で運ばれた経験から、それは自分にも当てはまるのだと痛いほどわかりました(実際イタかった...)。

恐怖の体験をすると、自分の弱さがわかり、その人は変れる。(中略) この病気は僕に、人間としての自己を問い、これまでとは違った価値観を見いだすことを強いたのだった。

私は癌ほどの大病ではないけれど、ここ数年病気や怪我で入院するたびに、言い換えると、与えられた試練を乗り越える度にこの意味が少しずつわかるようになった気がする。
ランスが療養中に50代くらいの女性が乗る重いマウンテンバイクに追い越された話がある。私も退院後リハビリ中にそういった経験をすることになるのかなぁ...

僕たちは死に対し、正面から向き合うべきではないだろうか。勇気だけを武器にして。勇気とは、人が危険に対し、恐れることなく、固い決意をもって立ち向かうことを可能にする精神力だ。

これは心に響く言葉です。病気でも怪我でもあきらめずに死にものぐるいで闘うことが大切なのでしょう。今回の事故では、生きててよかったよ。
本書は、「毎秒が生きるチャンス!」と合わせて読むと、より感動すると思います。どちらが先でも問題ありませんが、本書の方を先に読んだ方が良いかもしれません。
おまけですが、"How do you like them apple?" には、「やったぜ」の意味もあるということを初めて知りました。