「ひらめき」を生む発想術

「ひらめき」を生む発想術

「ひらめき」を生む発想術 (宮永博史 著)。
本書の題材となる企画・調査に携わった A.K さんから頂いた本です。人生でもビジネスでも、成功への分岐点は「ひらめき」にあるそうで、それを実在する成功者から学べる。
表紙の絵にもあるが「ひらめき」というと、何だか急にパッとすごいことを思いつくように感じるかもしれない。何もないところから急にポンと新しいものが生まれる。極々まれにそういったケースもあるかもしれないが、実際にはもっと泥臭いもので、あーでもないこーでもないと粘り強い努力と強い信念から生まれるものだろう。言い換えれば、天才と呼ばれる人間でなくても私のような凡人にも努力すればチャンスは必ずあるということなのかも知れません。
この手の本は他にも読んだことがあるけど、本書は内容もさることながら平易な言葉を選んで書かれているため、ずば抜けて読みやすかった。成功者として紹介されている人物の個性が読み物としてのおもしろさに大いに貢献しております。これお勧めです。決して頂いたからお世辞を言っている訳ではありません。(^^)
失敗しても、それも財産になるし、何時間も会議をやる暇があったらとにかく挑戦することだ。ある程度の規模の企業になると、イノベーションの芽を摘むためのさまざまな要素がいたるところに整備されており、スピード感を持って何かを実現することが段々と難しくなる(勿論不可能ではありません)。そういった我々が頭だけでわかったつもりになっているような事柄を、中小企業の例などを用いてしっかりと教えてくれます。
何が問題かを発見するためにはまず事実を正確に把握することが大原則とある。実はこれを家族に対して執拗に行って失敗したことがあります。柔軟性がかけていました。(^^;)
発想を妨げるものに、NIH (Not Invented Here) 症候群というものがあるそうで、要は自社で開発したものの方が優れており、すべて自社技術でまかなうべきだというもの。これは同感であると同時にちょっと痛いところをつかれたような気になります… 詳細は本書を読んで頂くことをお勧めしますが、「空」と「雨」と「傘」の話は目からうろこでしたね。以前トレーニングで学んだ MECE というツールの重要性も再認識できてよかったかも。
各節の最後にある「成功のポイント」は、そこで述べられている内容を非常に簡潔にまとめられており、読み返す際に最適です。いくつか抜粋。

  • 人に頼らず自分で道を切り開く覚悟こそが、素晴らしい発想と行動を生む。
  • 環境が変わったら違う発想をしよう。過去の成功体験にとらわれてはいけない。
  • 最後まであきらめない、これが達人の達人たるゆえんだ。
  • ひらめきの発想を活かすには、仮説と検証の繰り返しが大切だ。
  • 新しいことに挑戦しない守りの姿勢が、豊かな発想を妨げてしまう。
  • 現場の観察こそが、既成概念を壊し、成功する発想を生み出す源泉となる。