言いにくいことを上手に伝えるスマート対話術

Crucial Conversations

言いにくいことを上手に伝えるスマート対話術」(Kerry Patterson, Joseph Grenny, Ron McMillan, Al Switzler 著、本多佳苗, 千田彰訳)。
原題は “Crucial Conversations”。目上の人や上司、気難しい人、アドレナリンが出まくっている妻などとの会話を通じて相手に屈することなく、大切な(ときにはセンシティブな)問題をいかに解決するかの方法を解説した本です。序文を寄せているのは、あのスティーブンRコヴィーです。
実は、去年クラス形式のトレーニングでこの “Crucial Conversations” を受講してそのときにもらった本がこれです。そのときのトレーナー2人がまさに本書を翻訳した2人でした。カバーに掲載されている4人の著者と一緒に写っている写真が単なるいち翻訳者ではないことを物語っている気がします。
本書の内容はかなり充実したものになっており、正直言っててんこ盛りでお腹いっぱいになります。トレーニングを受けて、一度本を読んだくらいでマスターできるとは思えないけど、この本で紹介されている数多くの会話のテクニックは、有効なものばかりです。しかもそれらは、ビジネスの場においてのみならず、家庭でも絶大な効果を発揮するでしょう。
この手の本を読み終えた後にありがちな「確かにその通りだ。でもそうはいっても現実はそううまくいかないんだよ。」という意見にも本書はできるだけ対処しようとしているところがいい。例えば11章で沢山紹介されている難しいケースの実践的アドバイスなどがいい例である。
今までは、信用できないとか話しにくいとか屁理屈をこねるからとか話し合いをしようとしないといったような相手との会話は、ある程度切り捨てていたような気がする。話しにくいテーマや、自分/相手が頭に血がのぼって脳が猿になったとき等も会話を避けるか、相手を負かす/攻撃するのが普通の人間の言動であろう。がしかし、このダイアローグを実践すればたとえそういったケースでも今までとは違う対話を生み、問題解決に発展する可能性が高くなることでしょう。
実践するのがもっとも難しいのは毎度のことなんですが...