Gaucho

Blackcomb2006-04-16

オリジナルは 1980年リリースで、SACD は 2000年リリースの Steely Dan の超名盤「Gaucho」です。もともと Steely Dan のアルバムは高音質録音盤ですが、それが SACD になってより高解像度になっています。5.1ch サラウンドミックスは、歴史的に有名なレコーディングエンジニア、プロデューサの Elliot Scheiner の手によるものです。彼は最近は 5.1ch ミキシングの名手として有名です。以下の各曲のコメントでは Donald, Walter の素晴らしさは無論なので、どちらかというと参加ミュージシャンとマルチチャンネルの観点でのコメントです。SACD プレーヤーを持っているならば絶対「買い」の1枚です。また、まだ出ていないけどもっとも SACD/DVD-Audio としてリリースしてほしいアルバムは Aja ですかね。もし実現すれば、聴く前からいいに違いないと確信できるので一刻も早く実現してくれ〜!
1. Babylon Sisters
マルチチャンネルでは、インパクトのあるイントロのフェンダーローズがフロントに定位、ホーンはフロントとリア、ウィンドチャイムは周囲を包むようなミックスになっている。セクシーな女性コーラスも印象的で、こちらはリアスピーカーに振り分けられている。この曲は、名手 Bernard Purdie のドラムが曲全体を通してびしっとしめており、ハイハットのリズムが格好よくタム、スネアともに音がかなり僕好み。ミュートトランペットをはじめとするホーンセクションも物凄くセンスがいい演奏をしている。緊張感があってオープニングからとりこにさせる曲である。
2. Hey Nineteen
フロントのボーカルとリアに振り分けられたコーラスの掛け合いがマルチならでは。この曲に限らずこのアルバム全体を通して言えることですが、各曲とも完成度が異常といえるほど高いです。各楽器の使い方が素晴らしくうまい、例えば弾きっぱなしではなく沈黙しているときですら雄弁に語っているかのように感じる。薄すぎず分厚すぎず、まるで春物の服みたい。何か例えが変。(^_^;) Waler Becker のベースがグルーブ感があって Good。
3. Glamour Progession
Donald Fagen が弾くエレビとシンセが終始曲をリードしている。更に Rob Mousney のピアノによるおかずがムードをかもし出している。ベースは Anthony Jackson でこれまたいつもようにレベル高し。Steve Khan のツボをおさえたソリッドなギターが光る。テレキャスターかな?終盤のソロは音色は少しソフトな感じ。ドラムは Steve Gadd、パーカッションは Ralph McDonald。豪華ですね〜。
4. Gaucho
この曲は大好きな曲の1つ。イントロの美しいメロディのテナーサックスは Tom Scott で、SACD マルチではリアから鳴ります。Steve Khan のギターはここでも格好よくて、コーラスを効かせたトーンも好み。Who is the gaucho amigo 辺りのコーラスを含めた一体感は素晴らしい迫力。マルチチャンネルだと各チャンネルの分離が良くなっているけど、一体感が失われているわけではないので、個人的にはマルチの方が感動が上です。右チャンネルの Walter Becker のギターとリアの Tom Scott, Randy Brecker のホーンのかけ合い、そしてウィンドチャイムの前後移動。完璧すぎて恐いくらい。ドラムは Jeff Porcaro です。
5. Time Out Of Mind
タイトなドラミングは、Rick Marotta で、このドラムの音もかなり好きな部類。Donald Fagen のキーボードはどの曲でも要であり、基本的にフロントに定位している。一聴してわかる男性バックアップボーカルは Michael McDonald、控えめながらいい味のソロギターは Mark Knopfler です。ホーンセクションは、Randy, Michael Breacker, Dave Tofani, David Sanborn と大変豪華。
6. My Rival
もっともロックっぽいバックギターは Rick Derringer、ジャズっぽい方は Hiram Bullock でしょう。ギターソロは、Steve Khan。前曲とほぼ同じラインアップの豪華布陣のホーンセクションとコーラスはリアに定位しています。なるほど納得のベースは Anthony Jackson。
7. Third Workld Man
このアルバムで一番好きな曲です。Joe Sample の美しくかつ調和が計算されたようなフェンダーローズ、おかずも含めて文句なしに格好いい Chuck Rainey のベース、変な例えだがメロディアスで表情豊かと言ってもいい Steve Gadd のドラム、そしてもっと聴きたいと思わせる程よく歌っている Larry Carlton のギター。どれもが完璧すぎて、こういうものを一体どうやって製作したのかと思うとある種の奇跡的なものを感じずにはいられない。かっこよすぎ!