【自分に影響を与えた10枚 1970年代編】 Day 4: Something/Anything? / Todd Rundgren

自分に影響を与えた10枚 1970年代編
Day 4: Something/Anything? / Todd Rundgren
Released: 1972

当時は LP2枚組としてリリースされた Todd Rundgren の最高傑作です。
ロディアスな曲がこれでもかというほど次から次へと出てきます。全部で 25曲も収録されている玉手箱のような作品。それだけでも十分過ぎるほど凄いのですが、数曲を除いてすべて彼の作詞作曲、そしてボーカルはもちろんすべての楽器も彼一人で演奏しているというから驚きです。きっとすべて自分の納得のいく演奏にしたかったんでしょう。そしてそれが出来てしまうんだから凄いとしか言いようがないです。内ジャケットの写真に恐らくそのレコーディングのときのものと思われる写真が使われています。

私の中では看板曲だと思っている I Saw The Light から始まり、美しいバラード It Wouldn't Have Made Any Difference, Cold Morning Light と流れる感じはとっても素敵です。It Takes Two To Tango なんてものすごくポップだけどよく聴くと凝ってる。Sweeter Memories は、ギターとコーラスのイントロからいきなり引き込まれるこれまた美しいバラード。

Intro からはレコードのときは B面 (このアルバムでは PART 2 と呼んでいる) だったけど、ひっくり返して聴いたら曲じゃなくておしゃべりが 1分近くあったのはびっくりしたというのを思い出しました。その次の曲が陽気なインスト。PART1 とは少し趣きが異なります。その後の曲を聴いているとサーカスでも見てるかのような気になる。Todd Rundgren が作るんだからやはりただのポップアルバムじゃない。

名曲ばかりなんですが、Couldn’t I Just Tell You も名曲。途中で止めた Take 1 がそのまま収録されていて、笑い声の後 、左右に振り分けられた綺麗なアコースティックギターのイントロとともに Take 2 が始まる。こういう仕掛けがまたにくい。少しハードなナンバーの後にはピアノのバラード Torch Song でぐっと聴かせてくれます。かと思えば、ハードロック調の Little Red Lights がいきなり始まったりする。このギターソロは右チャンネルと左チャンネルを行ったり来たしします。当時は、こういうのでも「おーっ!」ってなったもんですw

Dust In The Wind は大好きな曲。クリーントーンのブルージーなギターソロからサックスソロへと移行するところが何度聞いてもぞくっとするし、ソウルフルなコーラスもこの曲に輝きを与えていますね。

大ヒットした Hello It’s Me は 3回目のカウントでやっと始まるけど、始まってしまうと売れた理由がよくわかる。演奏もボーカルもこの曲は完成度がワンランク高い気がします。PART4 のハイライトと言えるでしょう。終わり方もかっこいいし、流れるように次の曲につながるとこが最高ですね。
You Left Me Sore も Todd のカウントから始まります。Take1 は笑ってしまい失敗、Take2 は犬の鳴き声が入ってしまっていますw Take3 も笑ってしまい合わず。Take4 でようやく決まるのですが、リラックスした感じのこの曲も大好きでオルガンがとてもいい感じです。

Todd Rundgren で一枚選ぶとすればやはり Something/Anything? に決まりでしょう。

【自分に影響を与えた10枚 1970年代編】 Day 3: Live In Japan / Deep Purple

自分に影響を与えた10枚 1970年代編
Day 3: Live In Japan / Deep Purple
Released: 1972

フォークロックが2枚続いた後の Day 3 は、ハードロックの様式を作ったといってもいい大御所 Deep Purple です。Deep Purple といえばやはり70年代前半の第2期黄金期。どのアルバムも捨てがたいがここはやはり Live In Japan を推しておきます (日本以外では Made In Japan というタイトルでジャケットも違うものが使わ(れていました)。このライブアルバムは、数あるロックライブアルバムの中でもトップクラスの演奏で、今聴いても驚くほど音質が良いです。観客の手拍子も綺麗に録音されています。日本製のレコーディング機材が使用されたそうです。選曲は In RockMachine Head からの代表曲が演奏されており、当初は 1972年8月15日、16日の大阪公演、17日の日本武道館公演の中からベストテイクが選ばれましたが、20年後の 1993年に完全版としてそれぞれの日を1枚ずつのCDに収めた 3枚組CD がリリースされました。勿論すぐに買って、違うバージョンの Live In Japan を聴いて感動したことを覚えています。あ、ここのギターソロが違う!って感じです。:-) そうなんです、日本入りした翌日から3日間連続でコンサートをするだけでも凄いのに、毎日演奏が少しずつ違うんです。当時のバンドはインプロビゼーションがライブの醍醐味でそこでバンドの実力が測られたりしましたね。

以下のリンクはその完全版のもの。輸入盤ですが、ジャケットにカタカナで「ディープパープル」と書かれています。
イントロの Highway Star が流れてくると少年時代に聴きまくっていた頃を思い出します。リッチーブラックモアは、ちゃんと最初からギターを弾いていますw 気難し屋なのか、その後は曲が始まってもステージに現れないという暴挙もやっていました。
この Live In Japan の頃のリッチーブラックモアのギターはマーシャルの骨太な真空管ディストーションサウンドで好きでしたね。第3期以降、レインボーになってからも悪くはないんですが音がヘビメタっぽいので、この時代の音の方が個人的には好きです。ハードなプレイとクラシカルな旋律が魅力的なジョンロード、コージーパウエルなんかよりはるかに少ないドラムセットなのにそれをまったく感じさせないキレのあるイアンペイスのドラム、この時代はレンジも広くて歌のうまいイアンギラン。
完全版がリリースされてわかったのは、多少のミスはあるものの一発取りの大アドリブ合戦でこの演奏クオリティはやっぱり凄い。ボーカルとギターのかけ合いの部分なんて最高ですね。

これだけの名盤ともなると非常に沢山のバリエーションがリリースされています。ここですべてを紹介するのは難しいですが、高音質の部類に入るものをいくつかピックアップしてみました。中には今では入手困難なものだとかプレミア価格のものなもありますね...


Deep PurpleLed Zeppelin とよく比較されるが、後のハードロックの形を作ったバンドであることは間違いないでしょう。生で観たかった。

【自分に影響を与えた10枚 1970年代編】 Day 2: Blue / Joni Mitchell

自分に影響を与えた10枚 1970年代編
Day 2: Blue / Joni Mitchell
Released: 1971

1曲目の All I Want はアコースティックギターで、2曲目の My Old Man がピアノ。この始まり方って、1枚目に選んだ Neil YoungAfter The Gold Rush とまったく同じなんですよね。そして高くて美しく済んだ歌声も共通しているな。美しく澄んだというところは Joni Mitchell の方が似合った表現ですね。ダルシマーという楽器の響きもこのアルバムに輝きを与えている。Joni Mitchell とこのアルバムは数々の賞を取っており、例えば 100 Greatest Albums of All Time で 14位にランクインしており、女性としては最高位らしいです。でもそんなことは、どうでもいいくらい一度聴いたら忘れられないし、何度聴いても飽きない。

Little Green や Blue はしっとりとした感じが素晴らしく、California の字余りの感じもたまらない。ジングルベルの曲がイントロに使われている River、定位のいいスピーカーで鳴らしたときの A Case of You のボーカルの生々しさはぞくっと来る。

ちなみにこの名曲 A Case of You は沢山のアーティストからもカバーされており、その中でも個人的に好きなものをピックアップすると、Prince によるものは A Tribute To Joni Mitchell というアルバム、Diana Krall によるものは Live in ParisHerbie Hancock によるものは River: the Joni Letters というアルバムでそれぞれ聴くことができます。

その後 Jazz系のミュージシャンをゲストとして迎えたアルバムも捨てがたいし、Joni Mitchell は70年代に名盤を沢山だしているのでどれが1番かなんて選べないですね。今回は迷った挙句 Blue にしました。Neil YoungJoni Mitchell と続くと、私はフォークロックの大ファンなのかと思われるかもしれませんが、決してそうではないんです。でも Blue はとても美しいので今でもずっと好きです。

【自分に影響を与えた10枚 - 1970年代編】 Day 1: After The Gold Rush / Neil Young

自分に影響を与えた10枚 - 1970年代編
Day 1: After The Gold Rush / Neil Young
Released: 1970

facebookでバトンを受け取った人が「自分に影響を与えた10枚」を選ぶというものがあり、そのバトンを受け取ったのでポストしました。せっかく時間をかけて選んだので、ブログにも若干の追記などをしつつ残しておくことにしました。
 
頑張ったけど、10枚に絞るのはやはり無理なので、70sにリリースされたアルバムに限定して選ぶことにしました。それでもまずは30枚、さらに頑張って20枚に絞り込んだけど、10枚に厳選するのがとっても大変だった。結果として、歴史的な名盤ばかりが残ることになってしまった。ど定番なので面白味がないかもしれないけど、いいものは時代を越えて良いのである。今更だが70年代ってロックにとってすごい時代だったんだなぁと再認識。
1枚目に選んだのが Neil YoungAfter The Gold Rush です。
1曲目の Tell Me Why のアコースティックギターが流れた瞬間からつかみはばっちり。そしてピアノのイントロで始まる After the Gold Rush へ続くあの感じが何度聴いても心に響く。そして3曲目も美しい Only Love Can Break You Heart が続く。続く Southern Man はこのアルバムでは珍しく少し荒々しいナンバー。ギターソロはお世辞にも上手とは言えないがとても熱い。全11曲どれもレベル高すぎです。
このアルバムの直前まで Crosby, Stills, Nash & Young として名作 Déjà Vu を制作しており、このアルバムの2年後に Neil Young 名義の名盤 Harvest が発表されるが、どちらも素晴らしい。個人的にはこれほどまでにすべての曲の出来が高く、フォークもロックの要素も兼ね備えて、あの風貌からイメージできない高い声で、ロマンチックで痛切に心を打つこのアルバムが大好きです。
最近、彼のWebサイトで Stay Home 中の彼が自宅で演奏しているビデオが視聴できます。URLは https://neilyoungarchives.com/movie-night です。なんとこのアルバムがリリースされてから50年後のニールヤングの動く映像です。もちろん素晴らしくないわけがない。

Stratocaster を買ってギターを始めてみた

新型コロナウィルス感染症拡大により外出自粛生活が長期化することが予想されたので、私もこれをきっかけに何かやろうと考えました。1か月ほど前になりますが、考えた末に決断したのがギターです。

実は最初は安いウクレレでも買おうかと思ったのがきっかけで、調べていくとおもちゃではなく楽器と呼べるものだと、当たり前だが思ったよりは高いことがわかってきた。調べていくうちにギターとかベースギターなどが目に入ってきて、入門者向けでかつ楽器としていい音が出せるものはどういうものがあるんだろうとあれこれ調べ始めると、もう欲しくてたまらなくなってきました。あ、これ自転車のときと似てますねw

ベースギターにしようかエレキギターにしようかは最後まで悩みました。最近はどのメーカーのどのモデルがどんな音なのかはほぼ YouTube で聴くことができるんですね。これはギターに限った話ではないけど、とっても参考になりました。Fender Japan は Fender の割には低価格だけど、そこまでガチではないので、品質と価格のバランスを考えて Squier by Fender に絞り込みました。Squier には Fender のロゴも入っているのでちゃんとした Fender 一派なんですね。でもこの価格でこのクオリティは素晴らしいです。

ベースギターだと Jazz Base、エレキギターだと Stratocaster, Telecaster, Mustang あたりが候補になりました。私は背が高いわりに指が短いのでショートスケールの Mustang が弾きやすくていいかなと思っていたけど、YouTube で3つのモデルの音質を比較視聴してみたら、Stratocaster のあの何とも言えないクリーンで骨太で、ブライトな音もウォームな音も出るあの感じが個人的に一番気に入りました。よってモデルは Stratocaster に決定。Squier にもさまざまなシリーズがあって、本当は Classic Vibe シリーズが欲しかったけど予算オーバーにつき断念。一番安価の Bullet シリーズは、いろいろなレビューを読んだ結果、止めました。その中間くらいでとてもコストパフォーマンスが高い Affinity Stratocaster に決定!YouTube で確認したところ、本家 Fender と比較するのは酷かもしれないけど、とてもいい音だと感じました。そしてローズウッドではなくメープル指板が好みなので、”ブラッキー” っぽいモデルにしました。

おもなスペックは、ボディは Poplar、ネックは Cシェイプの Maple、フレットサイズは Medium Jumbo、フレット数は 21、5WAYスイッチ、クロームハードウェアといった感じです。

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ヘッドとペグが美しいので花を添えて撮ってみた
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次にアンプ。これもギターほどではないけどかなり調べました。(調査過程は長くなるので割愛)  最終候補として残ったのは2つ。1つは、Fender Frontman 10G 、もう1つは VOX Pathfinder 10。小型アンプですが出力はどちらも 10W でオーバードライブスイッチ付き。どちらの音もとても綺麗で甲乙つけがたいです。クリーンサウンドが VOX Pathfinder 10 の方が僅かに好みだったのと、この伝統のルックスを見てるだけで萌えますw パワーは一般的な住宅事情では十分すぎるほどで、フルボリユームにすることは恐らくないかと。。

それ以外に揃えたものは、

といったところでしょうか。チューナーはギターヘッドにクリップで挟んで使うタイプで、ボタンが1つだけあるとてもシンプルなもの。今はスマホの無料アプリでもチューナー機能を持ったものがありますが、この Fender Bullet Tuner の方がかなり使いやすいです。
ピックは、まずはいろいろ試したいと思ったので、有名な Jim Dunlop 製のバラエティパックをチョイスしました。まだ大して弾けるわけではないけど、弾きやすくて見た目もかわいくて気に入っています。

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Jim Dunlop のピックと Fender のチューナー

ケーブルはアンプとお揃いの VOX のもので、他社の製品と比べても安くてお買い得です。
本ブログ中の各製品のリンクは amazon のものですが、ギターとアンプは chuya-online.com にて購入しました。それ以外の小物は Sound Houseamazon などで購入。こんな世の中なのですべてオンラインショッピングにて購入です。
このギターとアンプを繋いで実際に弾いてみると、とっても綺麗な音がしますね。アンプは小型ながらチープで痩せた音ではなく、厚みと太さがしっかりとあります。クリーンなサウンドでコードを弾いたときの響きがとても心地よいサウンドです。
購入してから3週間ほど経過しましたが、いつも練習は Fender Play 活用させてもらっています。知人に今なら3か月無料でレッスンが受けれるよと教えてもらったので早速登録しました。登録すると、まずは対象の楽器をギター、ベース、ウクレレの中から選択します。私はギターを選択。その次にコースのジャンルを選択します。Rock, Pop, Blues, Folk, Jazzだったかな?後は、各レベルごとに複数のレッスンがありそれらをこなしていくと、レベルが1つ上がり次のレベルに進むという感じです。ビデオには何名かのインストラクターが登場しますが、私のお気に入りは Matt Lake と Jen Trani です。😊 内容はすべて英語になりますが、英語の勉強がてら丁度いいかも知れません。

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左が Matt Lake、右が Jen Trani

現在 Level 3 の最初の方ですが、思いの外難しくて苦戦しています。最初の段階で覚えるコードの1つにCメジャーがあるのですが、それがなかなか綺麗に鳴らなくて苦労しました。人差し指がどうしても3弦や1弦に触れてしまうんです。ある程度まともに弾けるようになるまで先は長そうですが、Fender Play のインストラクターの言う通り Keep Practice すれば少しずつ上達するだろうと信じてやっています。ただ、一日何時間も弾くことはせずに (正確に言うと指が痛くなってそんなに長時間は無理...)、短時間でもできるだけ毎日続けることを心掛けています。
おうち時間が続き、難しい状況となっていますが、腰痛でインドアトレーニングがままならない今は、ギターを弾くことが生活を少しばかり充実させてくれる気がしています。

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か小林 雅一 (著)。
成毛さんの「AI時代の人生戦略」でお勧めの本として紹介されていたので買ってみたのが本書です。なかなか読み進まなかったのですが、コロナウイルスの影響でおうち時間が増えたのでこれをきっかけに一気に読み終えました。
成毛さんもホリエモンも広範囲の知識の豊富さにただただ驚くばかりですが、本書の著者の小林雅一さんもすごいですね。あまりにも情報量が多いので、ここでは本書の一部の内容に触れていますので、興味のある方はぜひ手に取って頂きたいと思います。
仮想アシスタントの話の流れから SITE MACHINE が提供する「マシン・ビジョン」技術が紹介されています。これは機械学習と組み合わせて主に製造ラインで活躍しているようですが、人手に頼っていた検査作業をAIで自動化できるという観点では応用範囲はとても広そうです。電力業界のスマート・グリッド機械学習の良い例です。また、deep learning音声認識力を向上させたことにより機械翻訳の精度が向上し、Skypeにこの機械翻訳機能が実装されました。それにより英語とスペイン語の間で自動的に同時通訳ができるようになりましたね。対応言語は拡大中です。語学の勉強は大切ですが、世界中のあらゆる言語の方とコミュニケーションができるようになるのは素晴らしいことですね。
深層学習、強化学習Google に買収された DeepMind、ディープニューラルネット(DNN)、最新の AI を搭載した自律的兵器など次から次へと色々な事柄が紹介されています。また、よく話題になるAIが雇用崩壊を引き起こし、あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」も紹介されています。*1
Deep Learning の医学分野、特に遺伝子解析への応用、それに伴うプライバシーの問題。従業員の仕事ぶりを監視するツール。ビッグデータとしてなら問題ないが、個々の従業員と紐づける場合は要注意です。必ずしも問題があるケースばかりではなく、コールセンターやレストランなどの具体例が紹介されています。
線形回帰分析、ロジスティック回帰分析などで一般にAIが使うコスト関数、コスト関数を最小化する計算こそが機械学習がやっていること。懐かしい話としては、通産省が1982年に第5世代コンピュータ開発プロジェクト、ICOT などのお話も出てきます。当時のエキスパートシステムやルールベースのAIなど。個人的にはちょっと感慨深いものがあります。
ベイズ確率 P(B|A)=\frac{P(A|B)}{P(A)}P(B)をはじめとする確率・統計型のAIが頭角を現してきたのは WWW が寄与していたし、IBM製のスパコン「ディープブルー」、ワトソン、Siri などへとつながっていきました。車の自動運転技術に関してもかなり解説されており、そこで使われている AI では現在地確認は「モンテカルロローカライゼーション」、周囲の移動体の把握は「カルマン・フィルター」という技術が使われているそうです。
ニューラルネットにブレークスルーをもたらしたのはスパコンGPU の進化が大きいとか。AI の長い歴史と幾度もの挫折を経て、ルールベースの弱い AI から人間の脳を趣味レートする強いAIへと発展し始めています。スパイキング ニューラルネットやそれを実現したニューロモーフィック チップが脳を再現する究極の AI を実現してくれるのかもと言及されています。昨今 AI がバズワードのようになってきており、中にはとても AI とは呼べないようなものまでありますが、いよいよ真の AI がやってくる時代になってきたことを本書を通じて実感できます。
第3章では、ロボットについて解説されています。さまざまなロボット技術と Google が買収ロボットメーカーの多彩さに驚かされます。産業用ロボットは日本が強いが次世代ロボットは Google をはじめとする US が強いようです。スマホ音声認識は単なる序章で、自動運転なども含め、広義のロボット技術が今後ますます注目されることになるでしょうし、そのときに Google が圧勝することにならないように日本も頑張りたいところですね。
将棋ソフトのゲーム木の探索能力と局面の評価関数の説明を読んでいると Prolog, ESP, KL1 といった言語でプログラミングしていた時のことを思い出した。当時のコンピューティングパワーは今思うと信じられないくらい遅かったんですね。
インダストリー4.0 や SPARC の話題から人と機械の新たな関係を模索するトピックへと移り、AI が曲を分析し、ヒットソング・サイエンス(HSS)Norah JonesCome Away with Me というアルバムを分析。14曲中8曲がひっとすると予測したとか。このアルバムは1000万枚を超える大ヒットになったので見事的中したのですが、外れも多いらしいです。AI が作曲した曲が人間が作った曲より評価が高かったという話を聞くと人間の創造性はコンピュータに叶わないのかと心配になってきますが、一部においては確かにそういう事例はあるようですが、まだ人間の創造性の方が勝っています。2人の偉大な人の言葉を引用させていただきます。

創造性というのは物事を結びつけること(コネクション)にすぎない
(スティーブ ジョブス)

創造性とは一見異なる領域に属すると見られる複数の事柄を、一つに結び付ける能力を持った人から生まれる
(アイザック アシモフ)

人間を遥かに凌ぐ知能を備えたAIが登場した場合、いったいどうなるのでしょうか。著者は、知能が人間に最後に残された砦ではない。それを上回る「何物か」を私たち人間は持っているのです、と締めくくっています。
AIとひとくちにいっても、本当にこれだけ多くの種類の技術が今までそして現在存在しているのかを一気に学ぶことができるのが本書ではないでしょうか。これにより、私自身も何かヒントをもらえたような気がしますが、それが何なのかはまだわかっていません。

第1回 野辺山グラベルチャレンジは今年最高のライドだった

注) 記事の内容は2019年11月時点のことですが、備忘録として2020年1月に投稿しました。

毎年野辺山シクロクロスは行っているのですが、最近はもっぱら観戦専門になっていました。今年は、野辺山シクロクロスが1日だけになるけど、2日目は野辺山グラベルチャレンジというイベントを開催するアナウンスがRaphaからありました。この日だけ解禁されるグラベルロードを含むコースを2ステージに分けて走るこの野辺山グラベルチャレンジのアナウンスを見た瞬間からこれは絶対に素敵に違いない、必ずエントリーしなければと直感的に思ったことを覚えています。

いよいよ本番の週末。野辺山へは土曜日のお昼ごろに到着して萌木の村ロックで定番のカレーを食べてからシクロクロスレースを観戦。相変わらず楽しさ満載なのですが、今回は野辺山グラベルチャレンジについてなのでシクロクロスレースの方は割愛。

1週間前から野辺山方面の天気予報はがっつり雨でした。日にちが近づくにつれて徐々に降水確率は下がったものの雨予報は変わらず。前日の夜から朝にかけてもしとしとと雨が降り続けていました。お天気の不安はありつつも取りあえず朝は早起きして受付しに行きます。受け付けは当日の早朝のみでしたが、せっかく前日から来ていたので前日受け付けもしてもらえると大変ありがたいです。次回検討よろしくお願いします。

参加者に配られるグッズがなかなか素晴らしくRaphaのNobeyama Gravel Challengeの第1回記念キャップ(非売品)、Nobeyama GCの手ぬぐい、SRAMのボトルなど実用的かつセンスのいいグッズでした。自転車イベントの参加賞ってもらって嬉しいものがほとんどないのでこれは素直に嬉しい。

今回私はシクロクロスバイク(Van Dessel の Gin & Trombones)でエントリー。タイヤはChallenge GRIFO 33c。スタート前までは小雨もちらついていましたが、スタートしてしばらくするとなんとか雨は止んでくれました。

まずはStage 1 (27.7km)。滝沢牧場を抜けるまでがかなりの泥コンディションになっており、いきなりバイクは泥まみれw 雨は止んだというもののどんよりと曇った空で霧もかかっており、これはこれでちょっと北欧の雰囲気みたいでテンション上がります。

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グラベルロードを緩斜面を登ります

 前半は登りが続きますが、グラベルロードが想像していたがれた感じのものではなく、こまかい砂利をローラーでぐっと押して整備されたようなきれいで走りやすい道がずっと続きます。数百メートルかと思いきや、この整備されたグラベルロードがかなりの区間続いたのは驚きでした。日本にこんなすてきな道があるとは感動です。そして走っているうちにみるみると天気が良くなり澄んだ青空に変わりました。光が変わると景色もみるみる変化しますね。

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朝の陽の光が気持ちいい

計測区間くらいは頑張ろうと思っていたのだがポイントを間違えて計測区間内で停止しつつ後続を待ち、熱くなったのでジャケットを脱いで畳んだりとまったりし過ぎて大幅タイムロスw ま、いっかw ヒルクライムをこなして頂上にはタベルナ・エスキーナとCanyonのコラボブースがありレモネードをふるまってくれた。ここで飲んだホットレモネードは過去最高にうまかった!

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とても走りやすいグラベルヒルクライムでした

ダウンヒルの途中からまた霧が濃くなり、これがまた幻想的な風景を作り出してくれて、舗装区間に出てからもウェットなロードとガスった視界がいいムードです。ほどなく滝沢牧場に到着してStage 1もゴール。

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天候の変化で景色もみるみる変化

軽く休憩を補給をとってからStage 2 (23.1km)をスタート。この頃にはふたたび快晴となり、気温もぐんぐん上昇してきました。すると畑から水蒸気が出てなんとも言えない幻想的な景色を作り出してくれました。これも前日からの雨からの快晴へ変化した気温差の影響でしょう。自然ってすごい。これほど気温差と天候の変化を自然が反応してそれを半日で満喫できるなんて1年の内でも何日あるだろうかと考えると我々は本当にラッキーだったのだと思います。

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水蒸気が幻想的な景色を作り出してくれた
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止まって写真を撮らずにはいられませんでした

しばらくは農道のような走りやすい道を進み、やがて林道のグラベルに向かいます。ここのグラベルがStage 2 の計測区間でしたが、前日の雨の影響なのか見事に泥で仕上げられていました。ぬかるんだ泥の坂道はなかなかタフでこのときほどリアにもう1枚大きなギヤが欲しいと思ったことはありませんでした。とは言ってもフロント36Tでリアも27Tあるのですが、すっかり脚力が衰えた今の私には足をつかずに上るのが必死でした。グラベルバイクだったらMTB用の50Tのカセットを付けたりもするので、こういったぬかるんだ上り坂はビッグギヤ万歳ですね。

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美しい林道。泥区間は難易度高かった。。

泥で思い林道区間が終わると一気に広大な牧草地が目の前に広がります。登った後のご褒美のパラダイスかと思うほど幸せに満たされた瞬間でした。

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一気に開けた牧草地が現れた

そして牧草地にはRaphaルイゾンカーがあって淹れたてのエスプレッソ、コーヒーなどが振舞われます。メニューはエスプレッソ、ロングブラック、フラットホワイト。バナナ、MANAバーも。まさかこんな場所でラッテアート入りのおいしいコーヒーが飲めるとは思ってもみなかったので感動です。ライダーの皆さんもみんな笑顔でコーヒーを飲みながらゆっくりと楽しいひと時を満喫しているようでした。

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Rapha Mobile Clubhouse

最後は舗装路基調でゴールの滝沢牧場へ。

いやー、楽しかった。素晴らしいコース、素晴らしい天気の変化による自然の演出で美しい景色が沢山楽しめました。この野辺山グラベルチャレンジは、私にとっては間違いなく2019年のベストコースと言えます!控え目に言ってサイコーです!矢野さんをはじめRaphaの方々、数多くのスタッフやボランティアの皆さま、ご理解ご協力いただいた地元の方々に本当に感謝いたします。素敵な経験をさせていただきありがとうございました。

余談だが、この野辺山グラベルチャレンジが他のロングライドやサイクリングイベントと何か違う雰囲気があるなと感じていたのだが、それは上述した素晴らしいコースやグラベルというだけでなく、どうやら参加者の多くがRaphaをはじめとするお洒落なウエアを着ていたことだと気づいた。

2020年は野辺山シクロクロスのおまけ的な感じではなく単独開催という噂もあるので、ぜひまた参加してみたいです!